
11月はメイフライのまとまったハッチがあり、ウェットフライへの反応が良かったのですが、流石に12月に入りメイフライのハッチも少なくなってきていると考え、最初はストリーマー系のフライを結んで釣りを始めてみます。大きなプールでは反応が無く、その下の長い瀬も中盤に差し掛かる頃、スイングが終わりリトリーブを開始した直後にアタリがありました。運良くフックセットし、流れもありなかなかの手応えですが、あまり走らないので放流モノだと思いながらファイトしランディング。やはり放流モノのガンクロ系ニジマス。とりあえずあさイチに魚が釣れて安堵します。ささっと写真を撮り釣りを再開させます。ここは長いランで変化に飛んでいるのでとても面白い区間、残りは深瀬からプールになる流れで、岩盤にはブラウンが付いている可能性もあり、ブラウンに実績のあるフライに替えて釣り下っていきます。そして、プールも終わりに近づいた頃、リトリーブ中にドスンときました。ズンズンとティップが引き込まれて、先程とはあきらかに違うファイトで緊張感が高まります。ファイトからするといいサイズのブラウン、なんとしても取りたいところですが、リトリーブ中のフッキングはバレる可能性が高く、慎重にならざるを得ません。なんとかランディング出来るところまで寄せてくると、やはりブラウン。それも銀ピカ系。ネットを外し自分の右横でくねるブラウン、ロッドティップが嫌な角度だなと思った矢先、スポっと外れてしまいました。天を仰ぎます。せっかくのブラウンでしたが、リトリーブ中だったので仕方がありません。以前ならば、かなり落胆していたと思いますが、最近は少し余裕が出てきたのか、昔程は落ち込むこともなくなりました。そこから最後まで緊張感をもって流すもアタリはありませんでした。
今日は休日で移動してポイント難民になるのが嫌なので、もう一度流れの頭に戻り釣り始めました。今度はウェットフライに切り替え釣り下ります。真ん中はガンガンの流れ、その流れの下にフライを入れ、流れの脇に定位しているであろう魚に反応させるようなイメージで釣り下っていくと、イイ感じのポイントへフライがスイングし、ラインが下流に一直線になろうかという時、何か違和感を感じました。聞き合わせをしてみると一気にリールが逆回転をはじめ、エーベルのえげつない音色が川にこだまします。とっさにヤバい奴が掛かったことは理解できました。ロッドはこの日が筆おろしのスコットT3H 1286/4、魚に負けるロッドでは無いのですが、スピードがあるのでなかなかロッドを立てる事が出来ません。バットをためて魚を止めにかかっても、流れに乗った魚はグングンと下流へと疾走してなかなか止まってくれません。こうなれば流れに任すのみ。テンションを弱めず、バットをためながら魚が止まるのを待つことにします。バッキングラインまでは出されませんでしが、それでも、かなりの距離を下られてしまいました。ようやく走りが止まり、そこからは、リールを巻いては出されの繰り返しです。これだけやり取りをしているので、バレる事はないだろうと思いながらも不安は付きまといます。ようやく魚が見えるところまで寄せてくると、グリーンバックで厚みのある見事な魚体が目に飛び込んできました。緊張は更に高まり、絶対にバラしたくないという強い気持ちとは裏腹に、体力的にヨタヨタで思うように魚をコントロールする事が出来ません。あと少しでランディングという事を数回繰り返しますが、なかなかネットに収まらない。相手の根性もたいしたもの、あっぱれです。スティールヘッドのランディングの様に浅瀬に誘導して、おとなしくなったところをかっこよくハンドランディングしようと思いましたが、失敗しそうなので、ちょっとカッコ悪いですが、浅瀬に居る魚を強引にランディングネットに入れ長かった勝負が終わりを告げました。
典型的なファイタータイプ、ワイルドなメスのレインボーは、小型のスティールヘッドのような綺麗な魚体で、サイズは55㎝。尾鰭の下にキズがありましたが、満足のいく一本です。

ダブルハンドをやるまでは、ニジマスなんてという気持ちが強かったのですが、最近、その思いは、ものの見事にかき消されてしまい、ワイルドなニジマスのファイトは格別だなぁなんて思う自分に驚いたりしています。尺ヤマメのようなピリピリとして腰が引けるようなファイトにはなりません。しかし、存分にファイトを堪能でき、こちらの体力が無くなるまで走り回る相手と勝負できる楽しさ経験してしまうと、その面白さから抜けだす事は難しそうに思えます。不思議なもので、思いが変化するとニジマスの見え方も変わってきて、美白の魚体に、うっすらと頬を紅が入り、各鰭は大きく、筋肉質で肉厚な魚体は強くて美しいと思えてきます。
サクラマスを釣る為に始めたダブルハンドでしたが、いつの間にかダブルハンドにハマり、そしてニジマスというターゲットに辿り着きました。今でも一番のターゲットはサクラマス、それは変わりませんが、綺麗で逞しいワイルドなニジマスを狙い、全国を周るのも楽しそうだなと思います。そして、いつか本場のレインボートラウト、そしてスティールヘッドを狙う旅に出たらどれだけ楽しいのだろうか?思いは強くなるばかりです。
Dec./2021