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サクラマスが泳ぐ流れに立ち、竿を振り疲れたら河原で昼寝をし、また竿を振る。たまにサクラマスが跳ねるそしてまた竿を振って一日が終わる。至ってシンプルなルーティンなのだけど、サクラマスが居るというだけで全ての動作が緊張の連続で、突然訪れる出会いを今か今かと待ちわびている時間、僕にとってこれこそがサクラマスの釣り、至高の時間だと思えるのです。

今回の釣行で一度だけサクラマスからのコンタクトがありました。2日目の10時頃です。今回のメインポイントを朝から友人と二人で攻めていましたが、一回跳ねを見ただけでサクラマスからの音信はありません。ひとつ上のポイントで友人の釣りを見ていた時、ふとある事が閃きました。それは特別なことではなく、自分がモドリを狙っている時のシステムで狙ってみてはどうだろうか?という事でした。それまでは、この時期はこういう釣り方という固定概念というか、そんなものに縛られながらの釣りでしたから、いつも通りの自分の釣りをしてみようと思ったのです

 

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システムを変更し​て流れに立ちました。リフルを横切らせるようにフライをスイングさせるイメージで、一歩一歩慎重に下っていきそろそろ核心部という時、ラインを通してロッドを持つ右手に今までとは違う生命反応が伝わってきました。これだ、これを待ち望んでいたのだ。さぁもっと持っていけ、派手にリールを鳴らして激しく持っていってくれ。しかし、高ぶる瞬間は長く続きません。30㎝程出たありでラインはピタリと止まってしまいます。恐る恐る聞き合わせをしてみても反応はありません。なにか違和感を感じてフライを離してしまったのでしょう。がっくりと肩を落としますが、その気持ちとは裏腹になぜか少しの達成感もありました。今までやってきたことがサクラマスにも通用したということが、そういう気持ちにさせたのでしょう。

結局、三日間でサクラマスと繋がることができたのはたったこれだけ、僅か数秒間の出来事でしたがとてもドキドキする瞬間でした。

この数十年間は尺ヤマメ(尺アマゴ)を追いかけてきましたが、今思い返しても良い時間を過ごしてきたなぁと思います。沢山の思い出もできました。しかし、ここ数年は尺ヤマメよりもサクラマスの事を思うことが多くなってきていて、そろそろ最後のターゲット(サクラマス)と向かい合う時期にきているのではと薄々感じていましたが、今回のサクラマス釣行でその思いがハッキリとしました。                                         July.2021

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